手作り味噌に「白いもの」が現れたとき、不安になりますよね。私自身もどう対処すればいいか悩みました。
そこで、「味噌 白カビ」「味噌 白いもの」と検索すると「それは産膜酵母なので身体に害はありません」と書かれたサイトが出てきました。しかし、私の味噌に現れた白いものと比べると、産膜酵母とは違うものではないかと感じたのです。
検索結果を鵜呑みにして、「味噌にできる白いカビのようなもの=産膜酵母だから大丈夫」と考えてしまうのは危険です。
今回は、この2つを区別して書いているサイトが少ないため、私が発酵を学んだ日本発酵文化協会の先生に確認をとりながら、白カビと産膜酵母の違いをまとめました。
※以下、カビの写真を掲載しますので、苦手な方の閲覧はご注意ください。
味噌に現れる「白いもの」、4つのどれかチェック!
味噌作りの際に出会う可能性が高い「白いもの」は、大きく分けて4種類あります。まずはどれに当てはまるかチェックしてみてくださいね。
| 見た目 | 正体 | どうする |
|---|---|---|
| 綿や産毛のようにふわふわ。立体的に盛り上がる。 | 白カビ (カビ) | 周囲を大きく取り除く。広範囲なら処分も検討 |
| 表面にぺたっと張った薄い膜。平たく広がる。 | 産膜酵母 (酵母) | 取り除けば使えます(風味は落ちます) |
| 白い結晶のような粒。触るとザラっとする。 | チロシン (アミノ酸の結晶) | そのまま食べられます |
| 米粒の形がそのまま残っている。 | 麹の粒 (材料) | そのまま食べられます |
いちばん判断に迷うのは、上の2つ。白カビと産膜酵母です。写真を見ながら、順番に確かめていきましょう。
白カビとは?産膜酵母とは?
まずはそれぞれの定義について確認します。
白カビとは
白カビを使ったチーズがあることから、「白カビは食べられるもの」というイメージを持つ方もいると思います。しかし、カビは強い毒性があるものもあり、全てが安全なわけではないので注意が必要です。
カビは、食品製造、医薬品製造などに利用され、人々の暮らしに役立っているばかりでなく、他の微生物とともに生物の死骸を分解して環境を浄化しています。
その一方で、病気やアレルギー疾患の原因になったり、食品に生えて、毒物を生産し、ガンや中毒の原因になったりもします。
カビとカビ毒について|「食品衛生の窓」東京都保健医療局
産膜酵母とは
一方、産膜酵母は身体に害のあるものではありません。産膜酵母はカビではなく「酵母」なので、パンやお酒をつくるあの酵母と同じ仲間です。ですから、カビ毒はつくりません。
しかし、産膜酵母は風味を劣化させるものとして知られています。身体に害はなくても、せっかくの香りは確実に落ちてしまいます。
美味しい味噌を作るためにも、産膜酵母を見つけたら、混ぜ込まず取り除くことをおすすめします。
白カビと産膜酵母は違うもの!
ここまで見てきたとおり、白カビと産膜酵母は全くの別物です。カビも酵母も微生物の仲間ですが、性質も、人体への影響も違います。
実際に私の味噌に出来た白カビと産膜酵母の写真をご紹介します。


明らかに見た目が異なります。私の発酵の先生にも写真を見せたところ、「カビには菌糸があるので、左画像の丸く菌糸が伸び、ぽっこりしている方は白カビと思われます。それに対し、産膜酵母は膜が張るように伸びていきますので、右画像に写っている白いものは産膜酵母と思われます。」と確認していただきました。
カビは産膜酵母と異なり、身体に害を与える可能性もあるので、注意が必要です。
白カビと産膜酵母の見分け方
下記に、私の経験に基づいた白カビと産膜酵母の見分け方をまとめます。
白カビ
・カビは菌糸がある(肉眼でも確認できました)
・ふんわり、ふわふわした見た目
産膜酵母
・膜が張るように伸びている
・盛り上がらず、味噌の表面に沿って広がる
見た目に加えて、においも手がかりになります。産膜酵母が出ていると、アルコールのような香りがすることがあります。酵母がアルコールをつくるためです。
白カビと産膜酵母の対処法
白カビの場合
1.スプーンを消毒する
2.消毒したスプーンで、カビが生えている部分を大きくすくう(色がついているところ以外にも菌糸が伸びている可能性があるため、カビの周りを大きくすくいます)
3.すくった部分をならして平らにする
4.味噌の表面に高アルコール(焼酎など)をふきかける
5.空気が入らないようにラップなどで覆い、冷暗所で保存する
産膜酵母の場合
1.スプーンを消毒する
2.消毒したスプーンで、産膜酵母の部分をすくう
3.すくった部分をならして平らにする
4.味噌の表面に高アルコール(焼酎など)をふきかける
5.空気が入らないようにラップなどで覆い、冷暗所で保存する
kana産膜酵母であっても風味や香りを損なうので、私は白いものを見つけたら取り除くようにしています(少量の産膜酵母の場合は様子を見ていますが…)。素人の目だと白カビや産膜酵母の違いをしっかり判断することができないので、白いものを見つけたら、綺麗に取り除いてあげるのが最も安心安全です。
【対策】手前味噌から「白いもの」を出さないために
1. 表面にラップを密着させる
好気性の白カビや産膜酵母は酸素を好むため、味噌の表面にラップを隙間なく密着させて空気を遮断することで、繁殖を防いだり抑えたりする効果があります。
空気を断つのが目的なので、容器のフチまで隙間なく貼るのがポイントです。産膜酵母が容器のキワから出やすいのは、ここに隙間ができるためです。
2. 酒粕で蓋をする(酒粕蓋)
また、味噌の表面を、酒粕で覆ってしまう方法もあります。「酒粕蓋(さけかすぶた)」と呼ばれたりもします。
ラップの密着も同じく空気を断つ方法ですが、酒粕蓋はそこにアルコールの働きが加わるのが強みです。また、ラップよりも密着しやすいのがポイントです。


3. 表面に塩をふる
特に容器のフチのまわりに塩をふって、その部分だけ塩分濃度を上げる方法もあります。
ただし、塩がすべての微生物に等しく効くわけではありません。そもそも味噌は、かなり塩辛い環境にも関わらず、味噌の発酵が進むのは、そこで働く酵母が特別だからです。
味噌や醤油を造る酵母の味噌や醤油造りは,その高濃度の塩分によって,一般の微生物の生育を阻害し,発酵に必要な耐塩性の微生物のみが作用する環境としているのである
引用元:藤原朋子「味噌や醤油を造る酵母」生物工学会誌 第101巻第7号 p.371(2023)
味噌の発酵を担う酵母は、この塩分濃度でも平気で生きられる「耐塩性」を持っています。そして表面に膜を張る産膜酵母も、同じ耐塩性の酵母です。つまり、塩をふっても、産膜酵母は止まりません。塩が効くのは、耐塩性を持たない微生物、つまり多くのカビや腐敗菌に対してです。
手軽にカビ対策をしたい方にはおすすめですが、産膜酵母の対策をしたい方は①②を参考にしてください。
まとめ
・味噌の表面の白いものは、ふわふわ立体的なら「白カビ」、ぺたっと平らな膜なら「産膜酵母」
・産膜酵母はカビではなく酵母。かび毒はつくらないが、風味は落ちる
・白い「粒」はチロシンや麹の粒の可能性が高い。微生物ですらないので、そのまま食べられる
・カビを取り除くときは、菌糸が伸びている前提で周囲を大きくすくう
・色のついたカビ、広範囲、小さなお子さんや妊娠中の方が食べる場合は、迷わず処分を
自分で仕込んで育てた手前味噌。白いものが出ても、慌てて捨てる前に、まずは正体を確かめてみてくださいね。

