私が暮らす千葉県流山市は、「白みりん発祥の地」。
これを知るきっかけとなったのが、発酵マイスターになるためのレポート課題でした。
私が日本発酵文化協会の発酵マイスターの資格を取得した当時は、規定の講座を受講後、筆記試験に合格し、レポート課題を提出することが条件でした。
せっかくの機会なので、「自分の目で発酵食品を作る過程を見たい!」と思って調べていたところ、「古式造り 流山本みりん」と出会い、近くに酒造があることを知りました。
みりん自体、製造しているところが珍しいと聞いていたので、この出会いに感激!流山の白みりんをテーマにレポートを書くことにしました。
今回はレポートを書く際調べた「古式造り 流山本みりん」をご紹介します。
まず、白みりんとは?
従来のみりんと比較して色が淡い本みりんのことをいいます。
本みりんとは、もち米と米麹を合わせて焼酎に入れ、醸造したもの。40%以上の糖分と11~14%のアルコール分を含有する酒類調味料です。
煮物や焼き物などの料理に甘味・旨味を加えたり、ツヤを出したりする調味料として使います。
白みりんは「古式造り 流山本みりん」の他にも、「マンジョウ」「天晴」「最上白味醂」などがあります。
流山本みりんについて
流山伝統の古式造りを再現した「流山本みりん」。一度味わってしまうと他のものが使えなくなってしまうほど、味も香りも良く、見た目も美しいみりんです。
この流山本みりんは、どのように出来るのか…?
醸造する窪田酒造さんのご厚意で、みりんを作っている内部を見学させていただきました。(お忙しいところ、本当にありがとうございました。)
■窪田酒造について
創業145余年。千葉県最北にある蔵元。
現在、昔ながらの伝統製法でみりんを醸造している蔵元は、千葉県ではこちらと馬場本店、関東でももう1つあるくらい、とのこと。白みりんのほか、山田錦を使用した大吟醸を製造している。
流山本みりんができるまで
まずは、精米されたお米を仕入れて、洗い、蒸します。
もともと窪田酒造さんのみりんは飲料とされていた背景があるため、精米歩合が通常のみりんよりも小さいものを使用しているそうです。
これが、とーっても甘く、くどくない澄んだ味わいを楽しめる秘訣なんですね!
次に、みりん用に3日間かけて製麴します。
窪田酒造さんは、製麴室も完備。日本酒もつくっているので、ここで醸造するものによって麹の作り方は変えているんだそう!
2~3時間に1回、繁殖状況・温度をチェックします。
写真のように、布を広げたり、包んだりすることで温度調整します。製麹室は暑いし、力作業なので夏は裸になって作るんだとか…!
麹を作るのは、根気のいる大変な作業なのだと改めて実感しました。
出来上がった米麹、もち米、米焼酎、醸造用アルコールを仕込みます。
そして、圧搾します。
圧搾は、目の細かいフィルターでもろみを絞り、4日ほどかけて、みりんとみりん粕に分けるそうです。このみりん粕が、こぼれ梅と呼ばれるもの。(運が良ければ、かごや商店さんで購入できます)
その後、濾過・火入れ・瓶詰をして出来上がりです!
流山本みりんの特徴は?
赤みりんと言われる色が濃いものは、「もろみ2ヶ月、貯蔵1年」で味が落ち着くといわれていますが、流山本みりんは、「蒸米~圧搾で約3か月+α」の期間で私たちの手に届きます。
こだわりの製法と素材により、美しく澄んだ白みりんの状態で楽しむことができるのです!
ちなみに1年後にはメイラード反応により、みりんの色が濃くなります。私は、翌年のみりんが出来るまで使い切らないようにして、味比べをするのが密かな楽しみです♪
流山本みりんとマンジョウ本みりんとの違いは?
千葉県流山市には、大量生産されて日本のシェアを誇るキッコーマンの本みりんから、昔ながらの伝統製法で醸造している本みりん(古式造り流山本みりん)まで、様々なみりんがつくられています。
キッコーマンのマンジョウ本みりんと何が違うのか味比べしてみました。
(飲み比べ比較)
マンジョウ本みりん | 流山本みりん | |
---|---|---|
色 |
透明 |
澄んだ黄金色 |
香り |
アルコール臭 |
麹の甘い香り |
味 |
のっぺりとした甘みとアルコールが広がる |
お米と麹の自然な甘みが広がる、雑味のないクリアな味わい |
(参考)
マンジョウ本みりん | 流山本みりん | |
---|---|---|
原材料 |
もち米(タイ産)、米(国産)、米こうじ(タイ産米、国産米)、醸造アルコール、糖類 |
もち米(国産)、米こうじ(国産米)、米焼酎、醸造アルコール |
アルコール分 |
13.5~14.5度 |
13.5~14.5度 |
製造元 |
流山キッコーマン株式会社 |
窪田酒造株式会社 |
価格 |
511円(1l) |
1,021円(720ml) |
流山本みりんは、国産米100%を使用しており、自然な甘味と香りが楽しめます。一方、マンジョウ本みりんは、タイ産のお米を使用したり糖類を加えたりすることで安く(みりん風調味料ではない)本みりんを購入できるところがメリットでしょうか。
やはり実際に味わってみると、その違いは一目瞭然でした。流山本みりんは、酒造で丁寧に作られたみりんだけあって、まるで上質なリキュールのようで、そのまま飲んでも美味しいのです…!
昔ながらの伝統製法で醸造された流山本みりんは、生産量も限られていてとても貴重。関東で古式造りのみりんを醸造している蔵元はなんと3件ほどだそうです。
いつまでもこの伝統製法が受け継がれますように。私もたくさん食べて飲んで…応援していきたいと思いました!
流山本みりんを購入するには?
今回ご紹介した流山本みりんとこぼれ梅(みりん粕)はこちらで購入できます!
■かごや商店
https://www.kagoya-group.co.jp/
【所在地】千葉県流山市加5丁目1708番地
【営業時間】9:00~19:00 (水曜定休)
【アクセス】流鉄 流山線流山駅より徒歩15分 / つくばエクスプレス 流山おおたかの森駅より南流山駅行きバス三輪野山近隣公園前下車徒歩8分 / 常磐道 流山ICより車で5分